市民が寄付した不用品をお店で販売し、その売上で困っている人たちを支援するというのがチャリティーショップのしくみです。
フリーヘルプでは、地域の皆さまから寄付していただいた古着や鞄を販売して、得られた収益をDV被害者やホームレス、難民など課題を抱えた方々を支援する団体に寄付しています。
チャリティーショップは世界中にありますが、特にイギリスは数が多く、約12,000軒あるといわれています。これは人口5,000人あたりに1軒あるという計算になります。日本では寄付と聞くと「募金」を思い浮かべる方が多いかと思いますが、イギリスでは「チャリティーショップでの購入」が寄付の内訳において上位を占めています。
日本ではまだあまり普及していませんが、日本でも各地域にチャリティーショップが増え、チャリティーショップという寄付の手段が当たり前になれば良いなと思っています。
もともと服飾業界で働いており、廃棄される服をもったいないと感じていました。また1980年代には賃金の安い海外で縫製することが一般的となったことから服の質が悪くなっていました。古着の方が縫製の質が良いと感じるようになり、古着の輸入卸売をはじめました。その買い付け過程で海外のチャリティーショップの存在を知り、よい仕組みだと感じて日本でチャリティーショップを開くことにしました。
「もったいない」という言葉が世界的に注目されるなど環境を守る意識が高いと思われがちな日本ですが、実は古着の再利用率は世界で最低レベルなのです。
服飾業界にいた経験からさまざまな業者と繋がりがあり、リサイクル業者ともコネクションがあるので、たとえば破損や汚れの激しいものは提携しているリサイクル業者に引き取ってもらいます。このようにしてフリーヘルプに寄付される衣類は、下着や靴下なども含め全く廃棄することなく再利用しています。
フリーヘルプには毎月約2トンの古着が寄付されています。そこから大まかには「必要な方にお届けする分」「フリーヘルプで販売する分」「リサイクル業者に引き取ってもらう分」に仕分けをしています。
「必要な方にお届けする分」は地域のさまざまな支援団体と連携して、ホームレスの方に下着を届けたり、学校に着ていく服がないという児童にシャツを届けたり、必要とする方のニーズに合った物資をお渡ししています。
長年運営を続けていると多種多様なご相談をお受けするようになり、気軽に相談できる民間の窓口としての役割を担うことも、地域においては非常に意義があると感じています。
「フリーヘルプで販売する分」は、売上1点につき50円を認定NPO法人女性と子ども支援センターウイメンズネット・こうべが運営するシングルマザーと子どものための居場所「WACCA(わっか)」に寄付しています。傷みが激しいものや衣類として再利用が難しいものは、リサイクル業者に引き取ってもらい、工業用雑巾などの再生資源へと変身します。
チャリティーショップのロールモデルとして地域を牽引されてきたフリーヘルプさん。近年、チャリティーショップの輪は少しずつ広がっており、兵庫県内にも「シオヤコレクション」や「ふくる」のようなチャリティーショップが誕生しています。
持続可能なビジネスモデルとして普及させるには、収益をきちんと得ることも大切だと西本さまはおっしゃっていました。こういった福祉系の事業は補助金頼みになりがちな部分もあるそうですが、それでは補助金が打ち切られたときに事業として立ち行かなくなってしまいます。フリーヘルプでは設立から13年間、積極的に補助金を受けることなく事業を継続されてきたそうです。
市民としても、このようなショップが増え、買い物をする場所、あるいは不用品を持っていける場所の選択肢としてチャリティーショップが当たり前になれば良いなと思いました。